口約束はダメ!約束を守るために契約書・遺言書を残そう!

生前贈与・遺言の約束 相続トラブル

こんにちは。司法書士の甲斐です。

相続に関するご相談は様々あるのですが、良く有るパターンが、

「書面が無いのですが、何とかならないですか?」

と言うご相談です。

生前に不動産を贈与するとか相続するとかを、被相続人と約束した。

でもそれに関する書面はない、と言うご相談です。

家族間で何らかの約束事に書面を残すと言うのは、私の感覚としても少数派だと思います。

でも、約束事に書面を残さないと言うのは、今は良くても後々トラブルになるのです。

1.生前贈与を約束してくれたのに・・・

贈与は自分の財産を誰かにタダであげる法律行為です(民法第549条)。

このペンダントあげるよ。

嬉しい!ありがとう!

このように贈与は、「あげる」「もらう」と言う意思表示だけで成立するので、契約書は必要ありません。

だからこそ、家族間での贈与については、契約書なんて大げさなモノは作らない事の方が多いでしょう。

しかし、ここに落とし穴があるのです。

例えば、親が生前贈与でお金を子供にあげる事を約束していたけれど、その後親が認知症になった場合はどうでしょう?

親が「そんな事言った覚えはない」と言えばそれまです。

また、成年後見人が選任された場合、贈与契約の証拠がない限り、成年後見人は絶対に対応しないでしょう。

認知症だけが問題になるわけではありません。

そもそも書面によらない贈与は、まだ贈与が終わっていない部分について、いつでも撤回できます(民法第550条)。

他の兄弟から入れ知恵されて、親が贈与を撤回するかもしれません。

そうなればお手上げです。

つまり、契約書がない贈与は非常に危ういものなのです。

2.財産を相続して良いと言ってくれたのに・・・

これも良くあるパターンです。

ワシが死んだら、〇〇銀行の預金は全て相続しても良いから。

こんな事言われたら、非常に嬉しいですよね?

でも、このパターンについても、財産を残す側が遺言を作成していなければ、法律的には全く意味はありません。

「いやいや。ウチは家族の仲が良いから相続でもめる事はないでしょう。ちゃんと私が言った通り財産を分け合いますよ」

なんて声が聞こえそうですが、正直言ってそれは大変甘い考えです。

今仲が良くても、今後もずっと仲が良いとは限らないですよね?

人間の気持ち・価値観・考え方は、年齢と共に変化していきます。

また仕事や周りの環境によっても変わってくるのです。

「昔はあんなに性格が良かったのに、仕事が忙しくなりすぎて人が変ったようになってしまった。」

私の周りでも、このような人は沢山いらっしゃいます。

心に余裕が無くなった場合、相続トラブルは簡単に起こり得るのです。

3.契約書・遺言書を作成すれば問題はないのか?

では、生前贈与の契約書や遺言書を作成すれば良いのか?と言う問題になりますが、当然そうでは無い事はお分かりだと思います。

大切なのは中身であって、どんなに立派そうな書面を作成したとしても、その内容が生前贈与や遺言として成り立っていなければ、全く意味は無いのです。

(正確には文言の解釈次第でなんとかなるケースもありますが、例外的だと思って下さい。)

例えば、良くある

「自宅は長男の○○に任せる」
と言う文言の遺言書です。
「自宅」と言う表記では第三者から見てどこの事か分かりませんし、「任せる」とはそもそもどう言う意味なのかも分かりません。
自宅を相続させたいのか、それとも自宅の管理を任せたいのか。
「こんな遺言書、本当に実在するの?」
と思われるかもしれませんが、このような遺言で相続手続きが出来ずに困っていると言うご相談は良くあるんです。

契約書や遺言のひな型はインターネットや書店で簡単に入手する事が出来ます。

特に書店で販売されている契約書は便利ですので、そのまま使用しても問題がないように考えがちですが、実際には問題があるものが少なくありません。

私から見ても、

「この契約書、結局どう言う趣旨の契約なの??」

なんて疑問に思うものがしばしば。

ある時、書店で販売されていた、「土地の借地権に関する契約書」を見た事があるのですが、ビックリした事がありました。

タイトルこそ『土地賃貸借契約』だったのですが、その内容が借地権とも取れますし、使用貸借契約とも取れたのです。

借地権は他人の土地を賃料を支払って利用する権利。

使用貸借は他人の土地を無料(若しくは低額)で利用する権利。

どちらとも他人の土地を利用する権利ですが、その性質は大きく違うのです。

例えば、借主が死亡した場合、借地権であれば相続の対象になりますが、使用貸借であれば、そこで契約が終了します。

この差って借主(及び相続人)にとっては重要ですよね?

だからこそ、ただ書面を作成するのではなく、その中身も分かりやすく疑義が無いものにする必要があるのです。

せっかく贈与契約書や遺言を作成するのであれば、一度だけでも良いので専門家に相談するようにしましょう。

無効な贈与契約書や遺言を作っても無意味ですからね。

4.まとめ

「契約書(遺言書)が無いんですけど、何か良い方法は無いですか?」

と言うご相談は非常に多いのですが、ほとんどのケースが何とも出来ない状態です。

このような絶望的な状況ですので、『専門家に相談すればウルトラC的な解決策が出てくる』事は、ほぼありません。

甘い期待はせずに、将来的に無用なトラブルを防止する為にも、しっかりと贈与契約書や遺言を作成するようにしましょう。

 

【当ブログでは、相続対策や家族信託について分かりやすく解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

このブログの執筆者
司法書士甲斐智也

横浜市泉区の心理カウンセラーの資格も持つ司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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