相続対策も困る。親が認知症になったら大変な事と対処方法

認知症対策

現在、65歳以上の方の約7人に1人が、認知症と診断されている事をご存知ですか?

そして、この割合が数年後には5人に1人になると言う研究結果がある事もご存知ですか?

さらに、日本人の平均寿命は年々伸びており、100歳も目前になっている事はどうでしょうか?

こんにちは。司法書士の甲斐です。

相続対策のご相談のきっかけが、

「自分の親が認知症になったから」

と言う理由が非常に多くなっており、認知症は誰にでも関係がある、身近な病気となりました。

しかしながら、認知症の事を勉強をするのは、自分の親が実際に認知症になった後であり、それまでは認知症について、

「いまいち良く分からない」

と言う方も多いのではないでしょうか?

また、親が認知症になる事によって、どんな問題が発生するのか?と言う点についても、漠然とされているのではないでしょうか?

そこで今回は、親が認知症になったら困る事ベスト3と、その対処方法をお話ししたいと思います。

1.親の預金が引き出せない

まず困る事が、親の生活費についてです。

親の預金は原則、親しか引き出す事が出来ません。

親から委任を受けて、委任状をもらう事で親の代わりに引き出す事は可能ですが、認知症が進めば、その意思表示も出来なくなるでしょう。

その為、親のために親の預金が引き出す事ができず、子供がその都度立て替えて、それが何年も続いて・・・と言う状況になってしまいます。

さらに、色々な理由で老人ホーム等の施設に入居する必要が出てくるかもしれません。

普通の老人ホームに入居する場合、入居一時金として、まとまったお金が必要になる事があります。

月々の費用も数十万円発生します。

そのお金について、親の預金から引き出す事ができない場合、子供達が立て替える必要があります。

親から事前にキャッシュカードを預かって、暗証番号も聞き出して、必要に応じてATMから引き出せば良いんじゃないのですか?

例え子供でも、他人のキャッシュ―カードを使う事は銀行への規約違反になります。お勧めはできません。

キャッシュカードは原則、本人しか利用できません。

2.自宅等、不動産を売却する事ができない

上記の「老人ホーム」の件に関連する事です。

老人ホームへの費用が用意できない場合、考え得る方法としては、親が住んでいる自宅を売却し、その売却代金を老人ホームの費用に充てる、と言う方法です。

でも、親が認知症の場合、不動産を売却する事が難しくなります。

え、どうしてですか?詳しく教えて下さい。

不動産を売却する為には、買主と「売買契約」を締結する必要があります。しかし、認知症の方の場合、不動産を「売る」と言った意味を理解できない場合があり、契約そのものが有効に成立しないからなんです。

一般的に「意思能力」「判断能力」と呼ばれるものです。

自宅を売却する意味、金額をいくらにしようかと言う判断、その条件で売却しますと言う意思表示、これらが欠けている場合、契約は無効になるのです。

・意思能力・判断能力がなければ、契約は無効。
・親名義の自宅は、子供が勝手に売却する事はできない。

3.遺産分割協議ができない

例えば、父が亡くなり、その相続人が母と子供2人の場合を想定しましょう。

ただし、母は認知症で会話がかみ合いません。

実はこう言ったケースでは、父親の遺産分割協議ができません。

遺産分割協議も売買契約と同様、意思能力・判断能力が必要になり、その能力が無い状態で遺産分割協議を行ったとしても無効になるからです。

つまり、父親の遺産が塩漬けになってしまうのです。

4.もしも何も認知症対策を行っていない場合・・・

もし上記の問題が発生し、事前に何も対策していない場合で、それでもこの問題を解決したい時は、取り得る手段は一つだけです。

家庭裁判所に対して「後見の申し立て」を行う事です。

家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人に代わって契約等、様々な事を行ってくれます。

ただし、

・自宅を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要。
(許可が出ない事がある)
・本人の財産は本人の為に使用。原則、家族の為に利用する事はNG
(扶養する必要がある場合は別)
遺産分割協議を行う場合、法定相続分を確保する必要がある。
さらに、

・後見人は誰が選ばれるか分からず、弁護士等の専門家が選任されれば、月々の報酬(3万~5万程)が発生。

・本人が亡くなるまで、原則として後見制度は続く。

こう言った点にも注意が必要になってきます。

はぁ・・・何だか、がんじがらめですね。

本人の意思が分からない状態ですからね。本人の利益を優先する為には、ルールを明確にし、厳しく運用するしかないんです。

でも、元気なうちは出来ていた色々な事が出来なくなるなんて、おかしいと思います!何とかならないんですか?

親が元気なウチに事前に対策していれば、問題を大幅に解決する事が可能になります。その方法をご紹介しましょう。

事前に何も対策をしていなければ、八方ふさがりになる。
「何とかなるでしょ?」が通用しないのが、法律の世界。

5.認知症の事前対策

① 任意後見

上記の成年後見とは異なり、後見人をあらかじめ決めておく事ができる制度です。

本人と任意後見人候補者とで契約を行い、本人が実際に意思能力が不十分になった時に、任意後見人が本人の身上監護や財産管理を行います。

詳細は下記のページをご覧下さい。

将来の為の後見 -任意後見制度-
こんにちは。横浜の司法書士の甲斐です。今回は任意後見制度のお話しです。【事例】Q:私は今年、70歳になります。意思能力はちゃんとしており、特に病気も無く健康なのですが、将来の事を考えますと、どうしても不安になります。今のうちに成年後見の制度

② 家族信託・民事信託

こちらは成年後見、任意後見とは異なり、財産管理に特化した制度です。

自分の財産を託したい人(委託者)が、財産を託される人(受託者)と契約を行い、受託者が事前に決めた方針に従って、財産の管理・処分を行う事ができます。

詳細は下記のページをご覧下さい。

親が認知症になる前に!家族信託のやり方を分かりやすく解説します
こんにちは。司法書士の甲斐です。親が認知症になると非常に大変になってくる事、何かご存知でしょうか?それは、「自宅の処分」です。一人暮らしの親が認知症になり、施設等に入所する必要が発生した場合、困るのがその資金です。子供に潤沢な資金があった場

③ 遺言

遺産分割に関連する事であれば、遺言をしっかりと残す事で解決します。

遺言の中で遺産の分け方をしっかりと指定しておけばその通りにすれば良く、わざわざ遺産分割協議を行う必要はなくなります。

特にご家族の中に認知症の方や、知的障がい者の方がいらっしゃる場合、必ず遺言を作成して下さい。遺言を作成するだけで、天と地ほど結果が大きく変わってきます!

6.まとめ -八方ふさがり、後の祭りは絶対に避ける-

何だ、解決方法がちゃんとあるんですね。安心しました!

解決方法はありますが、ハッキリ言って、実践しなければ何も意味はないですよ。

インターネット上を探せば、認知症対策の事や相続対策に関連する情報は、山ほどみつかります。

でも、多くの方は真面目に勉強を行わず、問題が表に出てきて慌てて、初めて行動します。

でも、ぶっちゃけ、それでは遅いんです。

任意後見も家族信託も遺言も、意思能力・判断能力に問題がない元気なウチに行う必要があります。

親が実際に認知症になった時に慌ててやろうとしても、意思能力・判断能力が無ければ、どれも有効に成立する事が難しくなります。

と、言う事は、残る選択肢は成年後見一択です。

せっかく沢山の選択肢があったにも関わらず、勉強しない・行動しない事で、その可能性を自ら閉ざしてしまうのです。

人生は戻す事は出来ません。

何事も早めに行動しましょう。

早めに行動すれば、それだけじっくりと考える時間も増えますよ。

 

【当ブログでは、相続対策や家族信託について分かりやすく解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

このブログの執筆者
司法書士甲斐智也

横浜市泉区の心理カウンセラーの資格も持つ司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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