相続財産を「後継者1人だけ」にする場合の注意点

相続手続き

こんな記事を見つけたので、今回のテーマにしたいと思います。

相続財産を「後継者1人だけ」に渡したほうがいい4つのケース

今回は、相続財産を相続人で均等に分けるのではなく、後継者を1人だけに相続させたほうがいいケースを紹介します。※家庭裁判所に申し立てられる遺産分割事件の75%以上は遺産額5000万円以下の案件。相続問題は、お金が少ないほうが深刻化しやすいのです。その原因として、法定相続分を「機械的に・平等に分ける」従来の相続の考え方があります。本連載では、機械的な平等を排し、公平感があるように分ける「不平等相続」を提案するとともに、相続人の誰もが納得する相続のあり方を考察します。

Yahoo!ニュース

法律上、各相続人には法定相続分や最低相続分である遺留分があります。

しかし、遺産分割協議は相続人全員が合意すればどのように分けてもOKなのです。
(多く遺産を取得した相続人は、それだけ相続税の負担が増えますが。)

その為、上記のニュースにもあるように、杓子定規のやり方ではなく、各ご家庭の事情にあわせた、柔軟な遺産分割協議が望ましいでしょう。

・・・と言ってみても、実際は少ない遺産、分けにくい遺産を巡って相続トラブルに発展する事は良くあるのです。

ニュースの中にあるように、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件の75%は、遺産総額5,000万円の事件です。

「本当は相続人の一人に全部相続させるのが合理的である事は、心の底では感じている。でも、争わなければいけない理由がある」

こんな感じでしょう。

1.柔軟な遺産分割協議が中々難しい理由

① 法定相続分、遺留分の問題

上述したとおり、相続人全員の同意があれば、どのような分け方をしてもOKです。

事実上、相続人の一人が全ての遺産を相続した方が合理的な場合も多々あります。

それでも揉めてしまうのは、法定相続分と遺留分があるからです。

各相続人は法定相続分と言う権利があります。

その為、「自分の権利はしっかりと主張したい!」と思う相続人がいても、何も責める事はできません。

実際に、遺産分割調停が成立せず、審判と言う手続きに移行した場合、裁判所は基本的に法定相続分に従って遺産を分けようとします。

また、兄弟姉妹以外の相続人が持っている最低相続分の「遺留分」もこの問題をややこしくしているのかも知れませんね。

② 相続人以外からの口出し

相続人は全員遺産の分け方に合意しているのに、そのまわりの相続人関係者が口を出す事もあります。

一番多いのが、相続人の配偶者が口を出すパターン。

相続人の配偶者は、良くも悪くもドライなんです。

「法律で認められている権利を、なぜ主張してはいけないの?」

と言うスタンスで、自分とは関係がない相続の事について口を出す事も。

「ウチの相続の事はお前には関係ないだろう!」

と言ってしまい夫婦の仲が悪くなってしまったと言った話しもあります。

このように、

「相続財産を後継者1人だけにする」と言う事は口で言うのは簡単なのですが、実際は非常に難しい側面があるのです。

それでは、この問題をどうやって解決していくのか?

実際に相続が発生した後では、この問題を解決するのは中々難しいですので、やはり事前の対策が重要になってきます。

2.後継者1人にしたい場合に、事前に行うべき相続対策

① 遺言(出来れば公正証書遺言)を残す

相続人の一人に全ての相続財産を残したいのですから、遺言を作成するのが一番手っ取り早いです。

また、このような他の相続人の権利を侵害するような遺言を作成する場合、後日のトラブル防止の為に、公正証書で遺言を作成した方が良いでしょう。

② 遺留分対策もしっかりやる

遺言を作成しただけでは他の相続人の遺留分の問題も発生します。

その為、遺留分の問題もしっかりとケアをしましょう。

具体的には生命保険を利用した遺留分対策が考えられます。

そこまで現金がない場合、しっかりと話し合った上での遺留分の放棄(家庭裁判所の許可)も検討しても良いでしょう。

遺留分の放棄は、各相続人に認められた権利を放棄してもらう事です。言葉一つの間違いで大トラブルになる事もありますので、十分ご注意下さい。

③ 根回しも忘れずにやる

上記の二つは法律的なお話でしたが、まだまだやる事があります。

それが「根回し」です。

どうして相続人の一人に全財産を相続させると言った内容の遺言を作成したのか、その趣旨と理由を相続人関係者にしっかりと説明するのです。

「根回し」なんて日本人的な発想ですね。

根回しを実際にやる・やらないのでは大きな違いが出てきます。遺言者を中心にして説明した方が良いでしょう。

そもそも、相続対策でもっとも重要なのはご家族のコミュニケーションです。

このコミュニケーション不足から、様々な相続トラブルが発生するのです。

3.まとめ 民法も柔軟な遺産分割協議を行うように言っている

遺産を相続人の一人に相続させると言うのは、実際には非常にトラブルになりやすい事案です。

その為、「やれる事は全部やる」と言うスタンスが必要になってきます。

なお、柔軟な遺産分割協議に関する事は、民法にもしっかりと条文があります。

(遺産の分割の基準)
第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
このように「一切の事情」を考慮して遺産分割協議は行う事ができますので、困ったらこの条文をよりどころにして、話し合ってみて下さい。

 

【当ブログでは、相続対策や家族信託について分かりやすく解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

このブログの執筆者
司法書士甲斐智也

横浜市泉区の心理カウンセラーの資格も持つ司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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