まさか、遺言はただ書けば良いと思ってはいませんよね?

遺言

「相続トラブルを未然に防ぐには遺言が一番!」

相続の専門家が良く使うセールストーク(?)ですが、少しだけ注意しなくてはいけない事があるのをご存知ですか?

こんにちは。司法書士の甲斐です。

確かに、遺言は後々の相続トラブルを未然に防いでくれる優秀なツールですが、ただ書けば良いってものじゃありません。

書き方によってはかえって相続トラブルになる可能性があります。

「ひな型丸写しの遺言ではダメ!ちゃんと考えて作りましょう!」

と言うのが今回のお話です。

1.特定の相続人に有利な遺言を作成した場合

例えば、

・事業をしているので、財産のほとんどを後継者の相続人に相続させたい。
・自分の介護をしてくれた相続人に多く遺産を残したい。
・収入が少ない相続人に財産を多く残したい。
このような事情から、特定の相続人に有利になるような遺言を残したいと思う事もあるでしょう。

相続人には法定相続分がありますが、その一方で自分の財産はあくまで自分のものなのですから、どのように処分しても何も問題はありません。

(遺留分の問題は発生しますが。)

つまり、定の相続人に有利になるような遺言を残しても法律的には全然OKです。

でも、法律的にOKであっても、全ての問題がクリアーになるわけではありません。

例えば、相続人の反論として

・事業を継ぎたかったけど、親父が反対したんじゃないか!
・介護をしたくても遠くて出来なかった!
・収入が少ないのは本人の責任だ!
等、それぞれ言い分があるでしょう。

これは法的に解決できる問題ではないのですが、それぞれの相続人の立場とすれば「正しい」主張でしょう。

でも、法的には解決できませんので、行き着く先は兄弟姉妹間の不仲、疎遠になってしまいます。

2.事前の約束とは違う内容の遺言を作成した場合

これも良くあるケースです。

例えば、家族構成は父、長男、長女の三人(母は既に他界)の状態で、父は常々、

「私の財産は仲良く半分ずつにするように」

と言っていました。

長男、長女は別にお金に困っているわけではなく、さらに相続の話しに興味はなかったのでそれで全然いいや、と思っていました。

で、父が亡くなり相続手続きを行うとしたところ、父の遺言が出てきて、

「遺産は全て長男に譲る」

と言う、事前の話とは異なる内容でした。

当然、長女としては

「え?何で?話しが違うじゃん!!」

となるのです。

ここで注意すべきところは、長女は別にお金がほしいわけではないのです。

事前の話と全然違う内容の遺言が出てきた事で、不信感が芽生えたのです。

遺言書を残した父としては、兄弟仲良く半分ずつと思っていたのでしょうが、何かの理由があって考え方を改めたのでしょう。

でも長女にはそれが伝わらないので、相続を原因として相続人の仲が悪くなる、と言うケースになるのです。

3.「○○が遺言を書かせた!」について

ご相談を行っていますと、良く、

「○○(相続人)が、親父に遺言を書かせたんです!」

と主張される方がいます。

こう聞くと、

「脅迫や監禁等で無理やり遺言を書かせたのか・・・」

と思ってしまうのですが、詳しく聞いてみるとそのような事ではなく、単に相続人の一人がお願いして書いてもらった、と言うニュアンスが多いんです。

確かに、この状況も広い意味で「遺言を書かせた」事になるんでしょう。

でも、相続人のお願いを受けて、

「じゃぁ、しょうがないな・・・」

と遺言者本人が書いたのであれば、それは紛れもなく遺言者の意思で作成されたものなんです。

つまり、後から遺言の無効を主張する事はほぼ不可能。

だから、このケースでは「遺言を書かせた!」とどんなに声を荒げようと、感情的な問題にとどまってしまうのです。

4.じゃどうすれば良いのか?対処方法です

このような不幸な事を回避するにはどうすれば良いか?ですが、簡単に言えば、

杓子定規的、教科書的な遺言書を作成するだけではダメ

と言う事になります。

遺言に付言事項を書いたり(どうしてそのような分け方にしたのか、と言った具体的な理由等)、事前に家族間で何度も相続について話し合う必要があるでしょう。

いわゆる「根回し」も相続の場面では重要になってくるんです。

遺言を作れば良いって問題ではない。
作り方も重要だし、その前後の家族へのフォローも重要。

5.まとめ

もちろん、上記の方法を行ったとしても、相続トラブルが絶対に防げるわけではありません。

でも、相続トラブルが起きる可能性は、何もしなかった場合に比べて格段に低下させる事ができるでしょう。

そして、重要なのは遺言の相談を専門家に行う場合、上記のように「法律上の事」以外の観点からも考えてくれる専門家を探す事です。

トラブル防止のために遺言を残すのに、その遺言が原因でトラブルになってしまったら全く意味がありません。

問題に対して複数の視点を持ち、解決案を作成できる専門家」に相談するようにしましょう。

 

【当ブログでは、相続対策や家族信託について分かりやすく解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

このブログの執筆者
司法書士甲斐智也

横浜市泉区の心理カウンセラーの資格も持つ司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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