コンサル思考が欠落すると、遺言を作っても簡単にもめますよ

遺言

こんにちは。司法書士の甲斐です。

遺言は相続トラブルを防止する目的で作成する事が多いのですが、その遺言が原因で相続でトラブルになる事もあります。

特に特定の相続人に有利になるように財産を残したい場合、例え遺言を作成したとしても今後の紛争は避けられないでしょう。

ただそれでも、考えられるありとあらゆる対策を講じる事により、相続でもめる可能性を低くする事ができます。

今回はその対策を講じなかったが為に相続トラブルになった事例をご紹介したいと思います。

是非、

「このトラブルを未然に避ける為の方法は無かったのか?」

と言う視点で読んでみて下さい。

1.遺言トラブルの事例

実はこの事例、Yahooニュースで取り上げられていました。

顧問税理士の作成した「遺言書」が火種に?医師一家の相続争い(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース
「クリニック関連の資産は後継者の長男に。残りは二男に」。顧問税理士と共に耳鼻科医 - Yahoo!ニュース(幻冬舎ゴールドオンライン)

【事件の概要】

被相続人:都内で耳鼻科を個人開業していたCさん
相続人:Cさんの妻、Cさんの長男、Cさんの二男

Cさんは税理士に相談し、遺言を残していました。
その内容は、

「自宅は妻に、クリニック関連の資産は後継者の長男に相続させる。残りは二男に相続させる。」

と言う内容です。

クリニックの後継者は長男であり、自宅には妻が住んでいますので、それなりに合理的な内容の遺言です。

ところがCさん、その後に病気になり、健康保険の効かない高額な先進医療を受けました。

その結果、Cさんが亡くなった時に預金がわずか数百万円にまで減っていたのです。

これに怒ったのは二男です。

自宅もクリニックも、明らかに預貯金以上の価値があり、二男の最低相続分である遺留分を満たさない事は一目瞭然だったからです。

結局、Cさんの死亡によって長男に支払われた生命保険金を二男に渡すことで一応の決着はしましたが、兄弟間の交流は断絶したままとなった、と言うのが事件の概要です。

なお、長男が二男に払った保険金は、実はCさんが

「相続税の納税資金用に」と長男に残したものだったのです。

これを失ったことで、長男は納税資金を別に用意する必要が出てきたのです。

2.事件の問題点

Cさんが大病を患ったのは想定外の事実です。

しかし、実はCさんは預金が減った時の事を想定し、ある対策をしていたのです。

Cさんは実は、二男にも長男に支払われたのとほぼ同額の生命保険金を残していたのです。

つまり、二男は自分が受取人の生命保険金+長男の生命保険金を取得したのです。

生命保険金は原則、遺産ではありません。

だから、二男が生命保険金を受け取ったにも関わらず、遺留分を請求する事は法律上可能です。

でも、結局二男が1人得する事になり、兄弟間も疎遠になってバッドエンドになってます。

このケース、一体どうすれば良かったと思いますか?

3.この事件の解決策

私はこの記事を見た瞬間、解決策がすぐに思いつきました。

(と同時に、「この税理士やっちまったなー」とも思いました。)

解決策は、ズバリこうです。

二男には生命保険をかけず、その分を遺留分対策として、別途長男を受取人とする生命保険を利用すれば良い。
つまり、長男には相続税納税資金対策と遺留分対策の2本の生命保険をかける、と言う事です。
 
こうすれば、二男から遺留分を請求された場合、簡単に対応する事が出来たのです。

今回は税理士が関与して遺言が作成されていますが、プロであれば遺留分の事まで考え、その解決策までしっかりと提示する必要があったでしょう。

あくまで私見ですが、この事例は税理士側に落ち度があったと思います。

4.まとめ

遺言はただ作成すれば良いと言うものではなく、

この内容の遺言を残した場合、どのような問題が発生するのか?その問題を未然に回避するにはどうすれば良いのか?

と言った思考が非常に重要になります。

いわゆる、「コンサル思考」です。

相続の専門家を自称している人は数多くいますが、このコンサル思考が無ければ折角の相続対策が水の泡となります。

あなたが相談したいと考えているその専門家の、コンサル思考の有無は必ずチェックするようにしましょう。

そのチェック方法は簡単です。

このような遺言を残した場合、どのような問題が起こりえますか?

と質問するだけです。

この質問で、あなたの目の前の専門家の実力が分かります。

 

【当ブログでは、相続対策や家族信託について分かりやすく解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

このブログの執筆者
司法書士甲斐智也

横浜市泉区の心理カウンセラーの資格も持つ司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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