相続でもめた場合に具体的にかかる時間とお金の話

相続専門家

「相続でもめて遺産分割調停や審判を行ったらものすごい時間がかかる。弁護士に依頼すればお金もかかる。」

いわゆる『争続』になった場合の一般論です。

こんにちは。司法書士の甲斐です。

まだ相続に関わっていない方も、このような話しを聞いた事があると思います。

それでは、相続でもめた場合の具体的にかかる時間や費用は知っていますか?

1~2年ぐらい?弁護士費用は高そうだから、数百万円ぐらい?

そうですね。大雑把には想像出来ても、根拠を持ってある程度具体的な数字を出すのは難しいのではないでしょうか?

実はこの遺産分割調停や審判が終わるまでどれくらいの期間がかかったのかと言う統計が実はあります。

弁護士費用に関しても、昔に存在した報酬基準を参考にすれば、ある程度の金額は算出する事が可能です。

そこで今回は、相続でもめた場合にかかる時間と弁護士報酬について、それぞれ資料を参考にして、ある程度具体的な数字を出していきたいと思います。

1.遺産分割調停・審判はどれくらいの時間がかかるのか?

まずは遺産分割調停・審判から。

相続でもめて相続人間で話し合いがまとまらない場合、または話し合いを行う事が出来ない場合、法的な解決手段として遺産分割調停があります。

遺産分割調停は裁判所を利用する相続人間の話し合いなのですが、遺産分割調停で話し合いが成立しない場合、「審判」と言う手続きに移行します。

審判は民事訴訟のように、法律を適用させて権利を確定させる手続きで強制力があります。

・調停
→当事者間の話し合い。話し合いがまとまらない時もある。
・審判
→裁判官が遺産の分け方を決める。

なお、遺産分割は必ず先に調停を行う必要がある「調停前置主義」が採用されていない為、いきなり審判を申し立てる事が出来ます。

しかし遺産分割は家族間・親族の問題ですので、話し合いに向いている事件です。

そのため実務上は審判を申し立てても、まずは調停になるのが通常でしょう。

ではその遺産分割調停、審判が実際にどれくらいの期間がかかるのか、裁判所が公表している「司法統計」を見てみましょう。

平成28年度のデータになります。

【平成28年度司法統計】

審理期間件数割合
1ヶ月以内    361件 2.9%
3ヶ月以内  1,320件10.8%
6ヶ月以内  2,951件24.2%
1年以内  3,906件32.0%
2年以内  2,729件22.3%
3年以内    660件 5.4%
3年を超える    261件 2.1%
総数1万2,188件

上記は遺産分割調停と審判を合算した数値ですが、この統計を見る限り、半年~1年以内に終わるのが約7割で、この期間で終わる事が多いのが見てとれます。

なお、調停期日は平日に行わる為、もし平日に仕事を行っている場合、仕事を休んだり遅刻・早退する必要があります。

さらに、ただ裁判所に行くだけではなく、ご自身が主張したい事があった場合はきちんと書面を作成しなくてはいけません。

書類の作成の為の時間を確保する必要があります。

実は遺産分割調停・審判は想像以上に手間と時間がかかるのです。

2.弁護士に依頼した場合の報酬(旧報酬基準)

「遺産分割調停を自分で行うのは難しい。だったら弁護士にお願いしよう!」

と思った場合、次に脳裏に浮かぶのは

「弁護士費用って一体いくらかかるの?」

と言う疑問でしょう。

現在、弁護士の報酬は自由化されており、各弁護士が報酬を自由に決める事が出来ます。

その為、弁護士によって報酬が全く異なるのが現実で、実際にどれくらい弁護士報酬がかかるのかが計算するのが難しいんです。

ただし、今は廃止されましたが報酬基準が弁護士にはあって、今でもその旧報酬基準を参考にして報酬を算定されている弁護士の先生もいらっしゃいます。

つまり、あくまで目安ですが、旧報酬基準(旧日本弁護士連合会報酬等基準)から、弁護士に依頼した場合の報酬の目安を計算する事が出来ます。

【旧日本弁護士連合会報酬等基準】

報酬の種類弁護士報酬の額
着手金事件の経済的な利益の額が300万円以下の場合
経済的利益の8%
300万円を超え3,000万円以下の場合
5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合
3%+69万円
3億円を超える場合
2%+369万円

※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
※それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※着手金の最低額は10万円 。

報酬の種類弁護士報酬の額
報奨金事件の経済的な利益の額が300万円以下の場合
経済的利益の16%
300万円を超え3,000万円以下の場合
10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合
6%+138万円
3億円を超える場合
4%+738万円

※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
※それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※遺産分割請求事件の経済的利益・・・対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲又は相続分についての争いのない部分については、相続分の時価の3分の1の額

具体例を出して計算してみましょう。

Aさんの法定相続分は3,000万円ですが、寄与分として1,000円主張したいと考えています。

つまり、合計4,000万円です。

Aさんの法定相続分は他の相続人は争っていないのですが、寄与分に関しては全額争われています。

その時にAさんが弁護士に依頼して、かつ寄与分全額の主張を認めさせた場合の弁護士報酬は・・・。

【経済的利益】
3,000万円×3分の1+1,000万円=2,000万円

【着手金】
2,000万円×5%+9万円=109万円

【報奨金】
2,000万円×10%+18万円=218万円

弁護士報酬合計 327万円 となります。

実際の弁護士報酬は自由化されていますので、これとは異なりますが、ある程度の目安としては十分考慮しても良い金額だと思います。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか?

時間についても弁護士費用についても、人それぞれの印象があると思いますので自由な受け取り方をしても良いと思います。

でも、一つだけ言えるとすれば、

これだけ時間もお金もかかるなんて、正直バカらしくないですか?

人はどうしても将来の事については甘く考えがちになります。

未来が予測出来ないのですから、当然と言えば当然です。

しかし、ほんの少しでも未来を想像する努力を行えば、今回ご紹介しました時間も弁護士報酬も節約する事が出来ます。

ぶっちゃけ、しっかりと相続対策を行えばこんなに時間もお金もかからないでしょう。

相続でもめなければ、時間もお金もよりポジティブな活動にかける事が出来るのです。

だからこそ、真剣に相続対策を考える必要がありますし、相続人間でもめない為のコミュニケーションが必要になってくるのです。

限られた時間とお金を自分らしい人生の為に使うか、それともストレスフルな人生に使うか、全てはあなた次第です。

 

【当ブログでは、相続対策や家族信託について分かりやすく解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

このブログの執筆者
司法書士甲斐智也

横浜市泉区の心理カウンセラーの資格も持つ司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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